こんにちは、こころは軽くなるをテーマに発信している精神保健福祉士のあたるです。
今日は、依存症の家族を持つ人が本人にどうな対応、行動をしたらいいのかを
お伝えします。
振り返りですが、前回のポイントは家族が良かれと思ってしている対応行動が、
実は依存症を後押ししているという、イネーブリングのお話をしました。
イネーブリングを止めた次のポイントが今日のお話しです。
依存症に陥ってしまった本人は自分が依存症だとは認めることはありません。
認めることもないので医療機関へ繋がることも難しいのが現状です。
家蔵は早く専門の医療機関へ行って治療をしてほしいと思っているかもしれませんが、
本人は「何で自分が行かないといけなんだ」と言うでしょう。
治療や回復をしていくためにはまずは本人が依存症だと認めて(認識して)、医療機関へ
行こうとするところが回復の一歩になります。
まずは医療機関へ繋げ診察を受ける事が大切になってきますが、そこにいくまで、あるいは
医療機関へ行った後も家族の関わりは続くので、家族の行動を変える事で、本人の行動に変化を
起こしていくという事が大事になってきます。
そこで、原則になってくるのが、
・本人の望ましい行動(良い行動)を見つける
・良い部分を伝え強化していく(その行動を増やす)
・望ましくない行動を強化しない
という原則です。
どういう事かと言いますと、
人はつい、良くない(好ましくない)行動を注意してその行動を減らしていこうとするものです。
アルコールを例に出すと以下になります。
「何でまた飲んでるの⁉︎この前もう飲まないって約束したのに約束一つ守れないの⁉︎」とか
「いっつも飲んで家族のことなんて考えてない自分勝手な人。もういい加減やめたらどう‼︎」など‥
ギャンブルを例に出すなら‥
「この前行くのは週に1回だけって約束したよね!そうやって裏切られるこっちの気持ちも考えたらどう⁉︎」とか
「自分だけ好きなことして借金までして、これから生活どうしていくの⁉︎もういい加減にして」など‥
このように良くない、好ましくない行動を注意、叱責して、行動を減らそうと(止めさせようと)します。
しかしこれがなかなか難しいものなのです。
ですので、少し視点を変えて、
してほしくない行動を減らすのではなく、良い行動を見つけてそれを本人に伝え、良い行動を増やしていく、というものです。そうすることで、健康的な行動を増やしていくんですね。
また、望ましくない行動を強化しないと言うのは、ポイント1でお話しした、イネーブリングに気づき、止めていくということです。
良い行動を増やす(強化する)ためには、良い行動を見つけ、それを本人に返す(伝える)作業になります。
良い行動を見つけて本人に伝えるのは、少し恥ずかしい気持ちにもなるかもしれませんね。
実施する家族も緊張したりするかもしれませんが、初めはこっそり伝える練習をしても良いかもしれません。
依存症の家族は巻き込まれて、いつの間にか自分も依存症のこと、依存症本人のことばかり考えてしまったり、
家族のコミュニケーションも弱まり、自分の思いも相手の思いも分からなくなってしまっているかもしれません。
まずは家族環境を変えていきましょう。
依存症という病気は一朝一夕で回復したり解決するものではありませんし、家族愛だけで回復は難しいものです。
しかし回復に家族愛は大切で必要なものなのです。
次回は、家族が本人とのコミュニケーションでの伝え方のポイントをお話しできたらと思います。