こんにちは、こころは軽くなるを発信している精神保健福祉士のあたるです。
今日のお話は、「依存症」の人を持つ家族についてお話ししたいなと思っていますが、
ポイント1を本日はお伝えできればと思います。
依存症と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
代表的な依存症はアルコール、ギャンブル、薬物(違法薬物、合法薬物、処方薬も含め)、
子どもの間ではゲーム依存なんかも近年聞こえてきてますね。
私の勤めるクリニックで多いのはアルコール依存、ギャンブル依存、薬物依存が主です。
たまに買い物依存やクレプト(窃盗)の人も訪れてきます。
依存症は本人だけでなくその家族までも巻き込んでしまいます。
クリニックに最初に相談の連絡があるのも、家族からの連絡も少なくありません。半々か
もしかしたら家族からの方が多いかもしれません。
家族の方々が相談に来られた時の表情は複雑な表情のように私には映ります。
何とかしたい、でもどうしたらいいいのかわからない、こんな相談で恥ずかしい、
治るのか?何とかなるものなのか?自分たちはどうしたらいい?など、色々な感情が
その表情には表れています。
まず、完治するものでもなければ、再び上手に「適度」に可能になるものでもありません。
依存症とはどういうものなのかという説明はまた別の機会にお話し致します。
では今日はポイント1をお伝えします。
結論から言うと、「間違った対応」をしていないか振り返ることがまずは大切です。
間違った対応ってなに?と疑問に思うかもしれませんが、家族が良かれと思って対応している事が、
実は本人の依存の行動を後押ししている事があるのです。
ではどんな対応が依存の行動を後押ししているのか、以下に代表的なものを紹介します。
アルコール依存の場合
・酔ってしまい会社に行けない本人に変わって会社に欠勤の連絡をする
・本人の代わりにアルコールを購入する
・飲んだ空き缶などを片付け(散らかったものを掃除)する
・飲まないように怒って注意したり、泣き落としをしたり、取引きなどをして
相手をコントロールしようとする、など
ギャンブル依存の場合
・本人に変わって借金を肩代わりをして返済する
・アルコール同様に、ギャンブルしてしまうことに怒って注意したり、泣き落としをしたり、
取引きなどをして相手をコントロールしようとする
・家族が勝手に本人の金銭管理をする、など
ゲーム依存の場合
・ゲーム機自体を取り上げる
・アルコール、ギャンブル同様、ゲームばかりすることに怒って注意したり、泣き落としをしたり、
取引きなどをして相手をコントロールしようとする、
・親がゲームする時間を決めてその通りにするようにコントロールしようとする、など
上記に挙げた対応、行動はあくまで代表的なものです。
家族は、何とかしたい何とかしないといけないと思って本当に善意の気持ちで行っている行動です。
しかし良かれと思ってしている対応、行動が実は本人の依存を後押ししているものを「イネーブリング」と言います。
アルコールの場合の、会社への連絡、片付け掃除や、ギャンブルの借金を返済して反省させることなどは、本人が
自分の問題、課題だと捉えにくくなります。それどころか自分の代わりに家族が動くので罪悪感を抱きながらも
自身の問題だと捉えにくい状況になっているので依存の行動に拍車をかけてしまいます。
また、強く愛情を持って注意したり怒ったり、取引きしたり泣き落としをしてコントロールしようとしても反発、抵抗、拒否が起こってしまったり、罪悪感や窮地から一時的に依存行動が止まったり減ったりするかもしれませんが、返ってストレス負荷がかかり、そんな嫌な感情、辛い、苦しい気持ちを減らすために再開します。
家族はまずこのイネーブリングを自身がしていないか、あるいは他の家族がしていないかを振り返って
この対応、行動を止める事が大事です。
「そんなことしたらあの人(あの子)が好き勝手してしまうじゃないか」
「後からそのツケは家族が払うことになるんだ」
などの声が聞こえてきそうですが、そうならないように今後、家族の対応のポイントをお伝えしていけたらと
思っています。
まずは家族自身がしている対応を振り返ってイネーブリングをストップする事が大切です。
いきなり全部なんてできないということもあるので、できることから、あるいはできる日(できる時)でも
いいのです。
家族に無理をさせてはいけないですからね。
ではまた次回にお会いしましょう。
家族、あなたの時間も大切に過ごしてください。